「人間機械論 第2版 〜人間の人間的な利用〜」 ノーバート・ウィーナー

○心に残る「一冊」との出会いは?

学生時代に行っていたヒトとロボットに関する研究から、

 

「人間と機械に共通するもの、異なるものが何か」ということに興味を持ち、

 

この本に出会いました。

 

ウィーナーは「サイバネティクス」という新しい学問分野を提唱した人物で、

 

サイバネティクス」という言葉のかっこよさに個人的に惹かれたのが始まりです。

 

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○「一冊」について感じていることを自由に書いて下さい。

 

本書では「人間も機械も通信により動きを制御するという点で共通している」と述べながらも、

 

「人間は機械とは異なり、柔軟に学習が可能であるため、際限なく進化していける」と述べています。

 

また、人間とアリの比較を例に、アリは生まれた時から役割が決められているため、

 

フィードフォワード的な動きしかできないのに対し、

 

人間は、環境や状況からのフィードバックを得て常に変わっていける存在、とも述べています。

 

そして、ウィーナーは、人間は本来そうあるべきで、

 

奴隷制度により人間が人間らしく利用されていないことに対して憤りを示しています。

 

他にも、世界、自然界はエントロピー増大の一途を辿っているにも関わらず、

 

機械も人間も統一性や安定性を求めて動作しているため、

 

エントロピー増大とは対照的であると述べている点が非常に興味深い、と感じました。

 

「人間と機械の一体性」について研究開発をしている私としては、

 

この本から多くの学びを得て、

 

人間が人間らしく生きながらも、機械・ロボットを上手く活用することで

 

生活が豊かになるような技術を開発していきたいと考えています。

 

○「よのなか読書会」に参加して

 

定期的にこうやって本を通して刺激しあえる場があることは、とても良いと思います。

 

読書のアウトプットの場とすることで、本の内容を定着させることにも役立ちます。

 

(投稿者:K.Mさん 某大手電機メーカーで人の歩行を楽にするアシストスーツ開発に従事。人間に対し深く興味を持ち、特にその身体性に興味あり。「人間はもっと自身の身体として機械を使いこなすことでより進化していける」という思想を持っている)